当院の保険診療の外来には、毎日多くのアトピー性皮膚炎の患者様が来られます。
アトピーの痒みが落ち着いたあとの黒ずみ
アトピーの方の肌には、
「ドライスキン(乾燥肌)」
「苔癬化(たいせんか)」
と呼ばれるゴワゴワしたシワ、
そして特有の
「色素沈着(黒ずみ)」
といった特徴があります。

アトピーの痒みが治った後の黒ずんだ脇
特に関節の曲がる部分や首などは、痒みが強く症状が出やすい場所。
治療を続けて痒みが落ち着いてきても、鏡を見るたびに残った「黒ずみ」にため息をついてしまう
そんな方も多いのではないでしょうか。
外来でも、切実な表情でこう聞かれることが本当によくあります。
「先生、この黒ずみ、いつか治りますか?」
今日は、皮膚科専門医として、この問いに対しての答えをお話ししたいと思います。
黒ずみは「火事のあとの燃えカス」です
アトピーの黒ずんだ肌の正体は、医学的には「炎症後色素沈着」と呼びます。
私はよく、患者様にこれを「火事」に例えてお話ししています。
今起きている赤みや痒みは、肌が燃えている「火事」の状態。
そして残ってしまった黒ずみは、その火事で出た「燃えカス」です。

一番大切にしてほしいこと
一番大切にしてほしいこと。
それは、「新しい火事を起こさない(炎症を繰り返さない)こと」です。
火事が鎮火しないうちに、また次の火がついてしまえば、燃えカスはどんどん増えていきます。
燃える状態を繰り返すことで、常に燃えカスがある状態になる。
「燃えないようにすること」(=炎症を起こさないようにすること)こそが、
燃えカス(=炎症後色素沈着)をつくらない大前提になるのです。
黒ずみできてしまった後
「じゃあ、この黒ずみは一生このままなの?」と不安にならないでくださいね。
新しい火事を起こさず、お肌を穏やかな状態に保ち続けることができれば、
燃えカス(色素沈着)は少しずつ、お肌のターンオーバーとともに薄くなっていきます。
「火が消えた」状態とは?
ここで大切なのは、「火が消えた」の定義です。
最近のアトピー治療では、赤みや湿疹が引いただけでは、まだ「鎮火」とは呼びません。
見た目に赤みがなくても、皮膚がごわごわしていたり、ムズムズとした痒みがあったりするなら、
それは目に見えないところで「小さな火事(微細な炎症)」が続いているサイン。
この「くすぶっている火種」までしっかり消し止める治療(プロアクティブ療法)を続けること。
これが、黒ずみを残さないための最大のポイントです。
プロアクティブ療法とは?
プロアクティブ療法とは、アトピー性皮膚炎の症状が落ち着いたあとも、再び炎症が起こりやすい部分に、医師の指示のもとで保湿剤や外用薬を計画的に続けていく治療方法です。
“火種”を残したまま自己判断で薬をやめてしまうと、また痒みや湿疹を繰り返し、結果として黒ずみやゴワつきが残りやすくなってしまいます。
プロアクティブ療法は、良い状態を維持するための「先回りの治療」です🌿
炎症を繰り返さない肌環境をつくることが、色素沈着や苔癬化を防ぐためにもとても大切です。
もちろん、薬の種類や塗る頻度、続ける期間はお肌の状態によって異なります。副作用やリスクを避けるためにも、自己判断ではなく、必ず医師と相談しながら進めていきましょう。

治療 +αのケア・施術で一歩先の自分の肌へ
まずは保険治療で、しっかりと炎症をコントロールする。
少し痒みがましになったからといって自己判断で薬をやめず、治療を続けること。
そして、その先の「さらに綺麗に」を叶えたいとき。
「炎症は落ち着いたけれど、残った黒ずみをもっと早く、もっと綺麗に改善したい」
「自分の肌をもっと好きになりたい」
そんな前向きな段階に来たときこそ、当院にご相談いただきたいのです。
炎症が落ち着いているとはいえ、アトピーの方の美容医療の適応については慎重に見極める必要があります。
現在の炎症のコントロール具合を評価したうえで、
「今、あなたのお肌が耐えられる、かつ最も効果的な美白ケア」をオーダーメイドでご提案します。

この記事を監修した医師
木谷 美湖野(きたに みこの)
御所南はなこクリニック 医師
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本美容皮膚科学会
- 弾性ストッキングコンダクター
2014年長崎大学医学部卒業。神戸労災病院での初期研修を経て、2016年に神戸大学皮膚科へ入局。神戸大学医学部附属病院、三田市民病院、西宮市立中央病院にて皮膚科医としての研鑽を積む。
私生活では2児の母であり、親しみやすい診療を心がけている。



