日々の診療のなかで、鏡に向かう患者様から非常によく耳にする切実なお悩みがあります。
それが、
「昔に比べて、なんだか顔全体が縦に伸びて長くなった気がする……
それなのに、頬や口元には同時に深いシワや折り目が刻まれていくのは一体なぜなの?」
というご質問です。
お顔全体が下方向へダラーンと引っ張られて「伸びる」という現象が起きているのであれば、皮膚はピーンと張るはずではないか、と思われるかもしれません。
それなのに、なぜ「伸びる」と「シワ(折り目)が深くなる」という一見矛盾した現象が、同時に私たちの顔の上で起きてしまうのでしょうか。

今回は、この多くの人が抱く疑問を、皮膚科学および解剖学的な視点から徹底的に紐解いていきたいと思います。
そして、その根本的なメカニズムを踏まえた上で、当院でも絶大な支持をいただいている最新の治療アプローチについて、詳しくお伝えしてまいります。
加齢によってお顔の「それぞれの層」で何が起きているのか?
まず大前提として、私たちが「老けたな」「顔が変わったな」と感じる変化は、決して一番表面にある「皮膚(表皮)」だけで起きているわけではありません。
お顔の構造は、表面から深部へと向かって、幾重もの「層(レイヤー)」構造を形成しています。加齢によるエイジングとは、このすべての層において、同時多発的に組織の萎縮や変性が進行する現象に他なりません。
① 土台である「骨」の萎縮
お顔の最も深い基礎を支えているのは頭蓋骨です。しかし、年齢を重ねると、この骨自体が少しずつ密度を失い、物理的に「痩せて小さく」なっていきます。家で例えるならば、基礎のコンクリートが縮んでしまうようなものです。土台の骨が縮むと、その上に乗っかっていた組織は当然、支えを失って余るようになります。

② お顔を引き上げる「筋肉」の菲薄化(ペラペラになること)
骨の上層に位置し、表情を作り、お顔の組織をハンモックのように支えているのが「表情筋」です。使われない筋肉が痩せるのと同様に、加齢や血流低下に伴って筋肉自体がペラペラに薄くなり(菲薄化)、ハリや弾力を失っていきます。重力に逆らって組織を持ち上げるための「パワー」が失われてしまうのです。
③ 「脂肪」や「真皮層」のスカスカ化
筋肉や骨の間を埋めるクッション材である皮下脂肪や、皮膚のハリの源である真皮層(コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸のネットワーク)も、年齢とともに量が激減し、スカスカの状態になっていきます。水分を保持し、ふっくらと押し返す力が失われるため、組織全体のボリュームが著しく低下します。

④ 最表層の「表皮」の薄さ
私たちが普段触れている最も外側の表皮も、ターンオーバーの乱れや保水力の低下によってさらに薄くなっていきます。
⑤ 組織を繋ぎ止める「靭帯(リガメント)」の緩み
そして、近年の解剖学的研究において非常に重要視されているのが、「靭帯(リガメント)」の老化です。 お顔の深い骨と、その上の皮下組織や皮膚を、まるでテントの杭とロープのようにガッチリと結合させていた靭帯が、年齢とともに劣化し、伸びたり傷んだりしてくることがわかっています。 これは、「頑丈な柱と壁をしっかりと固定していたネジやビスが、経年劣化で緩んでグラグラになってしまう状態」にそっくりそのまま置き換えることができます。
こうして全階層が薄くスカスカになり、組織を支えていたリガメントのネジが緩んでしまうことで、重力による絶え間ない引き下ろしの刺激に負けてしまい、お顔の組織全体が重力方向へずるずると下垂していくのです。
このペラペラになった組織を強くし、緩んでしまった土台を引き締めることこそが、現代のエイジングケアにおける本質的な方向性であると言えます。
なぜ「顔が伸びる」のに同時に「シワ」ができるのか?
「顔全体が縦に伸びてダラーンと下がっているのに、なぜ同時に折り目(シワ)まで深くなるの?」
という疑問の答えは、解剖学の視点から見ると非常にシンプルな真実に行き着きます。
それは、
「中身(ボリューム)が減って皮膚が伸びた結果、行き場を失った余った皮が折れ畳まれる」
という、切っても切り離せない同じ現象の一部だからです。
ここで、身近なものを想像してみてください。
空気がパンパンに入っているときは、ピーンと張りのある美しい球体を保っている「風船」を思い浮かべてみてください。中の空気が抜けていくと、風船自体のゴムはダラーンと下に伸びてしまいますよね。そして、その表面には必ず、シワシワの細かい折り目がたくさん寄るはずです。

お顔の中でも、これと全く同じ現象が起きています。
骨が縮み、筋肉が痩せ、脂肪や真皮層がスカスカになって「中身のボリューム(中身の芯)」が減ってしまった結果、お顔の表面を覆っている皮膚だけが、重力によって下方向へとダラーンと引き伸ばされます。 その状態で、私たちは毎日、笑ったり、喋ったり、まばたきをしたりという何万回もの表情運動を繰り返しています。
伸びて余ってしまった薄い皮が、筋肉の収縮運動によってクシャッと無理やり折り畳まれることで、ほうれい線やマリオネットラインといった深い溝(シワ)や、目元・おでこの細かいちりめんジワとして定着していくのです。
さらに、加齢によって「薄い和紙」のようにペラペラになってしまった皮膚は、少しの力で簡単に伸び縮みし、一度ついた折り目が元に戻りにくくなります。 「顔が伸びること」と「シワができること」は、スカスカになった土台の上で同時に引き起こされる、いわばコインの裏表のような関係なのです。
「減らす」ボトックスと、「育てる」エムフェイスの決定的な違い
では、このペラペラになって組織が痩せ、重力で伸びてしまったお顔を、どのように元の健康な状態へと巻き戻していけば良いのでしょうか。
美容医療にはさまざまなアプローチがありますが、筋肉に対するアプローチを考えてみましょう。
ボトックス治療について
以前、当院の別の記事や診察の場でもお話ししましたが、例えば「エラボトックス」という治療があります。これは、咬筋(こうきん)噛みしめるときに使う発達しすぎた筋肉に対してボトックスを注射し、あえてその筋肉の過剰な動きを止めることで、筋肉を小さく萎縮させ、お顔の輪郭を引き締めて小顔にするというアプローチです。

これは言い換えるならば、大きくなりすぎたり張り出しすぎたりした不要な筋肉を、「休ませて減らす(小さくする)」という引き算の治療です。
しかし、今回私たちが着目し、強くおすすめしたい「エムフェイス(EMFACE)」という最新治療は、これとは全くその逆のアプローチをとります。
京都初導入!次世代たるみ治療のエムフェイス(EMFACE)

当院にて京都で初導入したこのエムフェイスは、加齢によってペラペラになってしまった筋肉を、
「もりもりに鍛え上げることで、欲しい部分のボリュームをご自身の力で力強く補う」
という、極めて画期的な足し算(再構築)の仕組みが特徴の次世代治療です。
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エラボトックスとエムフェイスの原理は裏表なのです
- エラボトックス: 張り出した不要な筋肉を動かないようにし、小さくしてすっきり見せる(引き算のアプローチ)
- エムフェイス: 衰えてペラペラになった「お顔を引き上げる筋肉」に強力な刺激を与え、もりもりに鍛えて自前の筋肉のボリュームでグッと引き上げる(足し算のアプローチ)
エムフェイスは、最先端の「高密度電磁場(HIFES)」と「高周波(RF)」という2つのエネルギーを同時に照射するテクノロジーを持っています。 これにより、自力のエクササイズでは鍛えることが難しいお顔の深い表情筋(前頭筋や大頬骨筋など)に直接アプローチします。

高密度電磁場(HIFES)のイメージ

高周波(RF)のイメージ
衰えて伸びきっていたお顔の大黒柱である筋肉を、まるでジムでトレーニングするように筋肉レベルから再構築することでごく自然なボリュームをもたらすとともに、中顔面の短縮にもはたらきます。
顔が伸びてきたの方にこそ、エムフェイスが最適な理由
今年6月に当院へ導入されて以来、その確実な手応えから、おかげさまで大変多くの患者様にご好評をいただいているこのエムフェイス。
実はこの治療、お顔の構造的な変化に悩む方の中でも、
「なんだか最近、若い頃よりも顔の縦の長さが伸びてきた気がする……」
と感じている方にとって、まさにこれ以上ないほど最適なメニューなのです。
その理由は、エムフェイスがもたらす物理的・解剖学的な変化に直結しています。
エムフェイスがもたらす物理的・解剖学的な変化
① 頬のトップ位置(中顔面)が高くなる
エムフェイスがターゲットとする筋肉は、お顔をキュッと上へ持ち上げるための主要な筋肉群です。ここに高密度電磁場が働きかけることで、中顔面(頬の中央部)がギュッと上方向へと引き上げられます。これにより、年齢とともに間延びして縦に伸びていたお顔の余白が、キュッと短縮されてコンパクトな印象に生まれ変わります。
② ほうれい線や口元のヨレが自然に軽減する
筋肉が衰えて下に落ちていたときは、皮膚や脂肪が下へ引っ張られ、ほうれい線の上に「余り皮」が覆い被さるように溜まっていました。エムフェイスによって土台の筋肉が元の高い位置へ引き戻されると、下に溜まっていた余り皮が自然に上に引っ張り上げられ、溝を埋めるような形でシワが浅くなります。
③ 不自然さのない、自前の立体感の復活
ヒアルロン酸などのフィラー(注入剤)で無理にパンパンに膨らませたり、糸で強力に引っ張って引きつらせたりする治療とは異なり、「自身の筋肉がもりもりっと若々しく復活する」ことでボリュームが出るため、お顔のバランスが非常に自然です。人工的な違和感が一切なく、中顔面がキュッと引き締まった若々しい立体感が蘇ります。

さらに嬉しいことに、エムフェイスの施術は専用のアプリケーターをおでこと両頬にペタッと貼り、ベッドに横たわっているだけの30分間で完了します。 針を一切刺さないため、内出血や痛み、ダウンタイムが一切なく、施術が終わった直後からお化粧をしてそのままお出かけしていただけるという手軽さも、忙しい現代の患者様に支持されている大きな理由の一つです。

解剖学に基づいた理にかなったアプローチを
歳を重ねるにつれてお顔が縦に伸びてしまうのは、決して表面の皮膚がただ乾燥しているからでも、気合が足りないからでもありません。その本質は、土台である骨と、お顔を引き上げる筋肉がペラペラに痩せ、靭帯というネジが緩んで全体が緩んでしまうという、解剖学的な全層のエイジングにあります。
スカスカになった土台の上で、重力に負けて伸びた皮膚が折れ畳まれることで、シワが深く刻まれていくのです。
だからこそ、その対策も表面を誤魔化すのではなく、根本的な構造にアプローチする必要があります。
無理に皮膚を引っ張ったり、不自然な異物を足したりするのではなく、
「ペラペラになっていた筋肉を鍛え上げて、お顔を元の高い位置へと自力でグッと戻してあげる」、
この解剖学的・生理学的な事実に基づいた最も理にかなったアプローチこそが、エムフェイスという治療が持つ真骨頂であり、私たちが自信を持って患者様にお勧めできる理由です。
そんな風に、ご自身の変化に気づき、より美しく健やかに歳を重ねたいと願っていらっしゃる方は、ぜひ一度、当院の診察室でお気軽にご相談にいらしてくださいね。
一人ひとり異なるお顔の骨格や筋肉の付き方、組織の老化度合いを丁寧に診察し、あなたの構造に最も寄り添った、無駄のない最適なリフトアップ計画を一緒に考えていきましょう。
皆さまのご来院を、スタッフ一同、御所南はなこクリニックで心よりお待ちしております。
この記事を監修した医師
木谷 美湖野(きたに みこの)
御所南はなこクリニック 医師
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本美容皮膚科学会
- 弾性ストッキングコンダクター
2014年長崎大学医学部卒業。神戸労災病院での初期研修を経て、2016年に神戸大学皮膚科へ入局。神戸大学医学部附属病院、三田市民病院、西宮市立中央病院にて皮膚科医としての研鑽を積む。
私生活では2児の母であり、親しみやすい診療を心がけている。


